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世の中はセンター試験も終わり、今は二次試験対策の季節でしょうか。受験生の皆さん頑張ってね。
というわけで、約1ヶ月の休止期間を置いて、また記事を更新しよう!と思い立った音恩です。三日坊主に終わらないように頑張りますが、なにしろ記事ひとつ書くのに結構時間かかるもので、更新頻度はそんなに上がらないような…なんて言い訳してみる今日この頃。
先月、酸と塩基についてちょこっとだけ説明しましたので、その続きをば。
今日は電離度の話をします。
ここに濃度の同じ塩酸と酢酸水溶液があるとしましょう。
塩酸に亜鉛を放り込みます。すると水素が発生しますね。
では、酢酸は?…酢酸も一応「酸」ですから発生するかもしれませんが…あんまりメジャーな反応ではありません。
どっちも「酸」です。濃度も同じです。しかし、発生する水素の量は違います。なぜ?
それは電離度が違うからです。
電離度、というのは、酸や塩基のような電解質が、水に溶けているとき、溶けている電解質の物質量に対する電離している電解質の物質量の割合のことです。記号αで表します。
一見すると難しく見えてしまう説明です。化学の教科書は、専門用語を使うのが大好きですが(当然だ)、化学に馴染みの薄い方々にとってはとっても不親切です。
とりあえず噛み砕いて説明してみましょう。
塩化水素を水に溶かすと塩酸が出来ます。
その際、塩酸は酸ですからプロトン(H+)を出します。
HCl → H+ + Cl-
塩酸は水に溶かすとプロトンと塩化物イオンに分かれます。食塩を水に溶かすとナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれます。
ちなみにこいつらのように水に溶かすと幾つかのイオンに分かれるやつを電解質といい、電解質の水溶液は電気を通しますが、ここではあまり関係ないです。
勿論、酢酸も酸で電解質ですからプロトンを出します。
CH3COOH → H+ + CH3COO-
でも、塩酸と酢酸ではプロトンの出しやすさが違います。
100個の塩化水素分子があれば、ほぼ100個全員がプロトンを出します。
でも100個の酢酸分子があっても、プロトンを出すのはたかだか1個か2個です。
その物質が幾つのプロトンを出せるのか、というのは物質によって決まっています。
勿論塩基についても同じで、OH-イオンを幾つ出せるのか、という数で塩基の強さが決まります。
ですから、それを数値化してやれば分かりやすいですね。
その数値が電離度なのです。つまり、電離度ってのは『ここにある量の物質があって、そのうちの何割が電離しているか』を表す数です。何割って…ちょっと語弊がありますね。電離度は少数表記なので、「割」という単位は使いませんが、考え方は同じです。電離度に100をかけると「何%が電離しているか」を表せますが、歩合も百分率も、ここでは使いません。
電離度α=出せるH+(またはOH-)の物質量÷溶けている溶質の物質量
というわけで電離度は割合ですので、単位はありません。最高は1になります。
割合なんて苦手だっ!ってな方は、数学の教科書を読んでくださいね。
【例題】
0.10mol/ℓの酢酸2ℓ中に存在するプロトンは何molか?酢酸の電離度は0.016とする
【解答】
酢酸の物質量は
0.01mol/ℓ × 2ℓ = 0.20mol
です。そのうち電離している酢酸は
0.20mol × 0.016(←電離度) = 0.0032mol
になります。
つまりプロトンを出せる酢酸は0.0032molしかいないということです。
じゃあプロトンは?
ここに注意してください。
酢酸1分子が出せるプロトンの数は、1個です。
でもリン酸だったら2、3個出せますし、硫酸だって2個出します。酸や塩基には価数があり、その物質1分子が出せるプロトンの数、というのが決まっています。
今は酢酸だから
0.0032 × 1個 =0.0032mol
で、プロトンの量も0.0032molなのですが、価数が2や3の酸(または塩基)の場合は、電離しているその物質の量に価数をかけた値がプロトンの量なのです。
そして、酸や塩基の強さは電離度によって決まります。
塩酸や硫酸の電離度は1で、水溶液中ではほとんどが電離しています。こういう酸を強酸(または強塩基)といいます。
逆に酢酸や炭酸のように水溶液中であまり電離しない酸(や塩基)のことを弱酸(または弱塩基)といいます。
強酸…塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸
弱酸…それ以外(酢酸、炭酸、硫化水素などなど) リン酸は弱酸と言う人と、中程度の酸と言う人がいます。
強塩基…水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム
アルカリ金属とアルカリ土類金属の水酸化物は強塩基です
弱塩基…それ以外(アンモニア、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化マグネシウム)
強酸と強塩基だけ覚えれば、それ以外は弱いんだなーと分かりますね★